仙台高等裁判所 昭和28年(う)106号 判決
被告人両名がことのついでに被告人高橋の農地委員会事務室に保管の現金及び農地証券を持ち出して、これを横領しようと共謀した事実は……被告人高橋の検察官に対する第一回供述調書によりこれを肯認し得るのであつて……また右供述書は被告人阿部に対する関係においては刑事訴訟法第三百二十一条第一項第二号の書面として証拠調べをしているものであること……により明らかであるから、被告人阿部のこれに符合する供述はなくとも、右被告人高橋の供述調書のみを以つて被告人阿部の右共謀の事実を認定して敢えて妨げないのみでなく、被告人阿部の検察官・司法警察員に対する供述調書において同被告人は被告人高橋から同人の横領にかかる農地証券及び現金の一部をその情を知つて貰い受けて費清した事実を自認しており、原判決はこれらをも綜合して認定しているのであるから、所論のように原判決は、右被告人高橋の供述調書のみにより前記認定をしているのではない。されば、原判決にはなんら所論のように証拠によらないで所論共謀の事実を認定した違法は存しない。